the end of December



ちゃん、もう来てたの?」
「ジュンス!久しぶり」
「元気だった?」
「うん。ずっと会えなくて寂しかった」
「僕も」
「そういえば新曲のCD買ったよ」
「ほんと?嬉しいな。どうだっ…」


話の途中でドン、という音がして、ジュンスがよろけた。代わりに背の高い人影が現れて、顔を見なくてもそれがユノだと分かった。


「ごめん、小さくて見えなかった」


ユノは平然と言い放って、大して飲めないくせに冷蔵庫からビールを取り出す。ジュンスは特に気にすることなく話を続けていたけど、ユノの姿が見えなくなると急に笑い出した。


「ユノが不機嫌って本当だったんだ」
「ただの我が儘だよ。朝からずっとあんな感じ」
ちゃんと2人きりで過ごしたかったんだよ、大晦日」
「でも人に当たるのは良くない」
「そのうち治ると思うけど…」


ユノはソファを一人占めして、年末恒例のドラマの再放送を見ていた。その近くでフライパン片手にジェジュンが立っている。同じく視線はテレビの画面に向けられていた。


「ジェジュン、そんなとこで何してんの」
「あ、ちゃん。たまたま通りかかったら面白くて」
「こういう恋愛ドラマが好きなの?」
「もどかしさがいいよね。ベタだけど」


私もつい一緒に立ち止まって見入ってしまう。でも丁度良い所でまたユノが邪魔をした。


「ジェジュン、料理進んでんの?」


ジェジュンは時計を見て、驚いたようにキッチンへ戻って行く。私は溜め息をついてユノの隣に座ろうとしたけど、退けてくれる様子がないから、ソファの隙間に軽く腰掛けた。


「…リーダーのくせに」
「私生活では関係ない」
「何でジュンスに体当たりしたの」
と楽しそうに話してたから」
「ジェジュンのことも追い払っちゃうし」
「邪魔でしょ」
「あなたは子供ですか」
「そうだよ。リーダーだから器が大きいとか思わないで欲しいな」


そのとき玄関から「ただいまー」と大きな声がして、ユチョンとチャンミンが帰ってきた。また賑やかになるなぁと振り返った途端、ユノに腕を掴まれる。


「何」
「1番危険だから」
「ユチョンのスキンシップは許容範囲だよ」
はユチョンに甘い」


そのとき背中が急に重たくなって、ユチョンに抱きつかれたのが分かった。


ちゃん久しぶり!見ないうちにちょっと太った?」
「はぁ?心外なんですけど」
「ほんと?俺の感覚も鈍った…って痛!!!」


ユノに思い切り腕をつねられて、ユチョンが一瞬で大人しくなった。


「許容範囲?」
「まぁちょっと過剰なときもあるけど」
「はぁ…」
「ユノ、具合悪いの?」


大晦日を2人だけで過ごせないだけで、ユノがこんなに苛々するのは珍しい。もしかして熱でもあるんじゃないかと顔を覗き込んだら、そのまま首に手を回してキスをされた。


「元気だよ、俺は」
「心配して損した」
「だって今年最後の1日なのに」
「ねー、どうしたらユノの機嫌は治るの?」
「いいよ、教えてあげる」


もはや一緒にソファに座っているというより、私がユノに襲いかかっているような姿勢になっていた。


「良くないよ。みんなに見られたらどうするの?」
は何しようとしてんの?」
「べ、別にそういう意味で言ったんじゃない」
「あと何時間で今年が終わる?」
「んー…4時間ぐらい」
「余裕だね。ちなみに俺が今年1番嬉しかったこと知ってる?」
「多分知ってる」
「じゃああと4時間で同じくらいドキドキさせて」
「は?」
「来年も毎日のこと考えてたいから」


ユノは悪戯っぽく笑って、もう1度、さっきより何倍も深くて甘いキスをした。


2012.12.26