Stay With Me



「…、目覚まし鳴ってる」


休みなのに携帯電話のアラームをセットしたまま寝てしまい、煩わしい電子音が耳元で何度も繰り返される。止めるのが面倒でそのままにしていたら、横からジェジュンの手が伸びて電源ごと切られた。また静寂が戻る。もう少し眠ろうと目を閉じた瞬間、勢い良くドアが開いて目覚まし時計片手にチャンミンが入って来た。チャンミンは微動だにしない私たちを見て、鳴りっぱなしの時計を床に置いたまま姿を消した。


「もう…何なの」


ちらっとジェジュンを見たけど、起き上がる気配はない。私は渋々ベッドから這い出して、嫌がらせのように鳴り響く目覚ましを止めた。もう4月になるのに、開けっ放しのドアから冷気が漂ってくる。何か着るものはないか探していると、今度はユチョンが現れた。


おはよ。不機嫌そうだね」
「ユチョン、出会えて良かった…何か着るもの貸して」
「冬物片付けちゃったんだけど」
「何でもいいよ。凍えそう」
「待ってて」


ユチョンはすぐに戻ってきて、春らしいカーディガンを貸してくれた。買ったばかりだから汚さないでね。冗談っぽくそう言うと、何故か楽しそうに部屋から出て行く。みんなが次々と様子を見にきているのに、当のジェジュンは一向に目を覚まさない。具合でも悪いのかと思って顔を覗き込むと、不意に大きな瞳がぱちっと開いた。


「起きてたの?」
「だって入れ替わり立ち替わり人が来るんだもん」
「ジェジュンを起こしに来てるんじゃないの?」
「その割にのことばっかり」
「被害妄想だよ」
「可愛いカーディガン着てるね。ユチョンのでしょ」
「あまりに寒いから借りてるの」
「ふーん」


ジェジュンは布団に包まったまま、怪しむような視線で見つめてくる。付き合いきれない。もうすっかり目が覚めてしまった私は、リビングに行こうとベッドから降りた。


どこ行くの」
「え、みんなのとこ」
「…その香水嫌いだな」
「私つけてないよ」
「ユチョンの匂いがする」


布団の中から伸びた手が、ぐいっと私の腰を抱き寄せた。またベッドに逆戻り。いつになったら起き上がるんだろう。どさくさに紛れて脱がされたカーディガンは、床にぽいっと投げ捨てられる。


「汚さないでって言われてるのに…」
「いいの」
「他人事だと思ってるでしょ。私が怒られるんだよ」
「でもは僕のだから」


そっと唇を重ねた瞬間、リビングからユノの呼ぶ声がした。私は慌てて身を起こしたけど、ジェジュンは何事もなかったかのようにキスを続ける。そのうち遠慮がちにジュンスがやってきて、私たちの様子を見るや否や、顔を真っ赤にして出て行った。


「ジェジュンもしかして仕事ないの?」
「あるよ。でも離したくない」
「心配しなくてもずっと側にいます」
「じゃあ一緒に行く?」
「行かない」
「嘘つき」


少し表情を曇らせた私を見て、ジェジュンは優しく笑った。困らせたかっただけだよ。そう言ってやっとベッドから抜け出す。でもやっぱり横顔が悲しそうで、こっちまで胸が痛くなった。


2012.03.22