can't help



「ジュンス、これどうしたの?」
「え?」
「このカーディガン!」
「あぁ、それユチョンの忘れ物だと思う」
「羨ましい…!」
「盗っちゃ駄目だよ。僕が怒られるんだから」


とユチョンは趣味が似ていて、ファッションの話になるといつも2人の世界に入り込んでいた。が悔しそうに眺めているカーディガンも、某ブランドの限定品らしい。


「ちょっと着てみようかなー」
「え、止めた方が良いと思うけど…」
「大丈夫、大丈夫」


は勝手にユチョンのカーディガンを着て、鏡の前ではしゃいでいる。少しサイズが大きいけどちゃんと似合っていて、彼氏の服を借りた風になっているのが悔しい。思わず嫌味を言いかけた時、ドアを軽快にノックする音がして、振り返るとユチョンが笑顔で入ってきた。


「あーやっぱりここにあったんだ、カーディガン」
「ユチョン、帰ってくるの早いよ…」
に持ってかれたら困るもん」
「どうやって手に入れたの?コネ?」
「まさか。自分で並んだ」
「うわ、意外に頑張ってたんだ…」


とユチョンの会話に入ることが出来ず、僕は1人で読書をしてる振り。だけど頭の中は、早く終わればいいのに、という気持ちで一杯だった。ユチョンがいなくなった後も、僕の心は暗いムードに支配されたまま。


「はぁ…私も並べば良かった」
は」
「うん」
「ユチョンみたいな男が好き?」
「あー、うん、まぁ話は合うし。友達として楽しいよ」
「そっか」
「って何落ち込んでるの?」
「別に」


カジュアルで好みの服を着たユチョンと違って、今日の僕はスーツ姿。落ち込まずにいられない。は黙り込んだ僕の正面に立って、ネクタイを結んでくれる。


「せっかく綺麗な格好してるのに、仏頂面してたら勿体ないよ」
「…仕事に行きたくない」
「新曲発表するって張り切ってたのに?」
「だってユチョンみたいにお洒落じゃないから」
「関係ないよ。ジュンスはユチョンじゃないもん」
「…いいの?こんな僕で」
「そんなジュンスが好きなんだよ」
「ユチョンよりも?」
「誰よりも好き」
「じゃあ行く」


子供みたいな僕を見て、呆れたように笑う。単純だって言われてもいいんだ。それぐらい君のことが好きだって、伝わってるのなら。


2010.10.19