Autumn Sketch



「…寒っ」


昨日まで最高気温が30度を上回っていたのに、ふと目覚めた明け方の気温は秋だった。こんなことなら、日々ちゃんと天気予報を見ておけば良かった。隣ですやすや眠っているユノは、しっかり長袖のTシャツを来て防寒対策をしている。長袖どころか、ノースリーブにショートパンツで寝ていた私は、本当にバカみたいだ。とにかく寒い。羽織るものを求めて起き上がったけど、秋物はまだクローゼットの奥深くに眠っている。部屋を見回すと、足下に誰かのカーディガンが転がっていた。勝手にカーディガンを拝借して、もう一度ベッドに戻る。


「…、なにしてんの?」
「ごめん、起こした?」
「いや、大丈夫だけど」
「寒くて目が覚めたの」
「そんな格好で寝てるからだよ」
「ユノは偉いね、ちゃんと対策してて」
「俺が風邪ひいたらみんなにうつるからね」
「さすがリーダー」


折角の睡眠を妨害してしまったのに、ユノは怒るどころか笑顔まで見せて、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。すごく暖かい。体温だけじゃなくて、そのずっとずっと奥の心温が伝わってくる。


「でもそれ」
「どれ?」
「カーディガン。ユチョンのでしょ?」
「え、そうなの?床に落ちてたから借りちゃった」
「高いんだよー見かけに寄らず」
「ユノが言わなきゃばれないよ」
「電話しちゃおうかな、のパジャマになってるよって」


そう言って携帯に伸ばした手を、私なりに強く握りしめて止める。なのに倍の力で握りしめられて、痛さに悶絶した。あはは、と楽しそうに手を離すユノ。本気で痛かったんだから!と怒る私。正真正銘バカップルの図だ。もし自分が傍観者なら確実に引いている。


「いいじゃん、2人きりだし」
「…ユノのギャップってすごいよね」
「よく言われる」
「そうですか」


バカップル第二弾が始まって、結局朝まで戯れていた。


2010.09.24